【連載:所信表明を解剖する ③】「可処分所得」の拡大へ——社会保障と国民負担のジレンマ

政治関係 高市政権・自民党ウォッチ

【Page 3】 「国民の懐」に届くのか?:可処分所得の拡大と社会保障の難問

どれだけ「積極財政」を謳い、株価が上がったとしても、私たちの財布が潤わなければ経済の好循環は生まれません。第3ページでは、演説で語られた「所得向上」の実現性を検証します。

1. 「賃上げ」の影に隠れた「国民負担増」の正体

政府は「構造的な賃上げ」を掲げていますが、多くの人が実感しているのは「手取りが増えない」という現実です。

  • ステルス増税の加速: 額面の給与が上がっても、社会保険料(厚生年金・健康保険)の負担率が年々上昇しているため、可処分所得が押し下げられています。
  • 物価高との追いかけっこ: 賃上げ率が物価上昇率(インフレ)を上回らなければ、実質的な生活水準は低下します。

2. 社会保障は「負担」か「投資」か

演説では社会保障の持続性についても触れられていますが、ここは最も「痛み」を伴う領域です。

  • 現役世代の限界: 高齢者層を支える現役世代の負担は限界に達しつつあります。
  • 分配の適正化: 単に給付を絞るのではなく、いかにして「全世代型」の安心を構築するか。ここでの財政出動が、将来不安を解消し「貯蓄から消費へ」とお金を回すスイッチになります。

鋭いツッコミ: 「手取りを増やす」と言いながら、一方で社会保険料の引き上げや新たな負担増がセットになっているのであれば、それは「右のポケットから左のポケットへ移動させているだけ」に過ぎません。

3. 「分厚い中間層」の復活は可能か

かつての日本が持っていた「一億総中流」のパワーを取り戻せるかどうかが、積極財政の真のゴールです。投資を促す新NISAなどの施策と、足元の生活を守るセーフティネットの強化。この両輪が回る具体的な道筋が、今回の演説からどこまで読み取れるかが焦点となります。


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