【現場のリアル】時給10円アップの衝撃。福祉報酬改定の「ベースアップ」はどこへ消えた?

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年度更新の時期、多くの福祉従事者が「労働条件通知書」を手に取る瞬間です。 期待と不安が入り混じる中、そこに記されていたのは「時給10円プラス」という現実。

「10円って、1%にも満たない……。あの『ベースアップ加算』のニュースは何だったのか?」

現場で子供たちの命と向き合い、送迎車のハンドルを握る日々。その対価としての「10円」の重みを、制度のバグと現場の視点から徹底的にデバッグします。


1. 10円アップの「絶望感」を計算してみる

時給が10円上がる。一見「プラス」に見えますが、現在の物価高騰(インフレ)や社会保険料の負担増を考えれば、実質的には「マイナス」に近い数字です。

  • 時給1,000円の場合: 10円アップはわずか1.0%
  • 1日8時間・月20日勤務: 月給ベースで1,600円の増加。
  • 現実: コンビニのペットボトル飲料1本分、あるいは送迎車のガソリン代の端数にも満たない金額。

「頑張りを認められた」と感じるには、あまりにも寂しい数字です。この「10円」という回答を出した経営側と、それを強いる国の制度に、現場のモチベーション(実行リソース)は削り取られています。


2. 2026年度「報酬改定」の謎:加算はどこへ行った?

政府は確かに「福祉職員の処遇改善」を掲げ、数回にわたる改定で「ベースアップ」のための加算を新設・統合してきました。

  • 処遇改善等加算: 本来、職員の賃金向上に充てるべき原資です。
  • ベースアップ評価料: 2024年以降、基本給や決まって支払われる手当の引き上げを目的として導入されました。

しかし、現場に届くのは「10円」。なぜこのような「処理落ち」が起きるのでしょうか?

  1. 事務手数料・管理費への流用: 加算の一部が施設の運営維持費(光熱費や車両維持費)に消えている可能性。
  2. 法人内での再分配: 全職種一律で上げるために、一人当たりの上げ幅が極小化されている。
  3. 複雑すぎる算定要件: 事務方がバタバタするほどの複雑な手続きを経て、結局「10円」しか捻出できない制度の欠陥。

3. 事務員も「バタバタ」している不条理

契約書を渡してきた事務員の方々も、決して悪意があるわけではないでしょう。 彼らもまた、複雑な加算申請や労働条件通知書の作成という「膨大なバックエンド処理」に追われています。

「全員で残業して事務処理をして、ようやく捻り出したのが10円」

だとしたら、これほど悲しい効率化(デバッグ)はありません。現場も事務方も疲弊し、潤うのは中抜きされるシステムだけ。これでは、重症心身障害児という最も手厚いケアが必要な現場に、新しい人材(リソース)が入ってくるはずがありません。


4. 結び:10円に込められた「メッセージ」を読み解く

今回の「時給10円アップ」は、私たち現場人間にとって、国や経営側からの「これ以上は出せない」というSOS信号のようにも聞こえます。

しかし、私たちは10円分の仕事をしているわけではありません。 子供たちの体調変化を見逃さず、安全に送迎し、日々の成長を支える。そのプロフェッショナルな仕事に対し、適切な「対価(パッチ)」が当てられない今の福祉OSは、明らかにアップデートが必要です。

「テンションが下がった」という今の感情を、決して忘れてはいけない。 それは、あなたが自分の仕事に誇りを持ち、正当な評価を求めている証拠だからです。

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